教え方にもコツがある

幼児、児童、生徒の教育をメインに、自らの学びから、成長するために本当に大切なことは何かを考察していきます。

なぜ中学生にスマホはいらないのか

無意識の垂れ流し

Twitterは、英語で「呟く」の意。

呟きはそもそも、無意識の垂れ流しのことです。

「疲れたな」「よし!」「やだなあ」「がんばるか」

心に浮かぶ由無し事を誰に聞かせるでもなく、声にならぬ声に出すことが呟くということです。

Twitterの厄介なところは、その無意識の垂れ流しがそもそも「呟き」になっていないところです。

漏れ聞こえてくることを前提としてつくられています。

語彙力も判断力も乏しい中学生が、心の声をオープンに呟いたりしたら、トラブルが起こるのは目に見えています。

教室や学校であれば、大人がいることを意識して、例えば卑猥な言葉を叫ぶこともなければ、誰かの悪口や不平不満を大人数に聞こえるように声に出すこともないでしょう。

それが、デジタルの世界では日常茶飯事で起きているのです。はっきり言って、異質です。

果たして、中学生にとってTwitterを使うメリットとデメリットを天秤にかけたときに、どちらに傾くのでしょうか。

 

 

脳構造上、子どもだけの空間は危険

ローレンス スタインバーグという方が書いた『なぜ15歳は言うことを聞かないのか』という最新の脳科学の本の中で、思春期の脳の特徴が説明されていました。

思春期の脳は、制御系より報酬系の部位が優位に働き、目の前の刺激や快感、報酬を我慢することがそもそも難しいのだそうです。

そして、友達といることで、この報酬系の部位のスイッチが入ることも思春期の特徴の一つだそうです。

友達といることを「楽しい」と感じる傾向が、大人よりも強くなる脳の仕組みになっているそうです。

また、報酬を得ることで次の報酬を欲するスイッチが入るという脳の働き(酒とタバコ、麻薬とセックス など)が、思春期の子どもたちを誤った判断に導くのだと説明していました。

それは、友達といることで報酬系のスイッチが入り、さらに別の報酬(刺激)が欲しくなるからだそうです。

大人数になると、逸脱行為や違法行為、無謀な行為などをしてしまう傾向が強くなるのは、そういう理由からだそうです。

 

さて、何が言いたいのかと言うと、思春期の子どもは基本的に大人の目の届く範囲の中で生活をしています。

学校、習い事、塾、家庭…。

例えば外に遊びに出かけたとしても、完全に大人の目から隔絶された場所はほとんどありません。

そうやって、子どもだけにならないように、つまり大人数で誤った判断や行為に至らないように、守られているのです。

ただし、最近では大人の目が届かない場所が子どもにはご丁寧にも用意されています。

SNSです

 

問題は、知識や道徳的判断力の有無ではない

大人の目の届かないところで、子どもだけで群れていれば、そこには必ずトラブルが生まれます。

いくらメディアリテラシーを教えても、啓発しても、効果がないことはアメリカの性教育の予算の増額と性交渉における避妊率の関係が証明しています。

アメリカでは早すぎる性交渉と妊娠の問題を受けて、政府主導で性教育への予算の計上が行われたそうです。

しかしながら、どれだけ予算と性教育講義、講話を増やしても、避妊率は高まらなかったそうです。

なぜか。

思春期の子どもが、親がいない場所(環境)で過ごす機会が減ってないからです。

いくら性についての危険性を語っても、その状況になって気持ちの昂りがある中で、「そういえば学校で性交渉について学んだな」と思い出すわけがないとローレンス氏は言っています。

問題の解決には、まず親の目の届かない環境の方を変えていくしかないと語っています。

 

SNSも同じです。

親の介入や監視、監督がない中での思春期の子どもの危うさを、大人がもっともっと理解しないといけない。

「我が子を信じてる」と、一見すれば理解のある親の教育観のように聞こえる考え方も、脳科学の観点から言えば、「何を言ってるんだ?」と一蹴されます。

発達段階をより深く理解するよう努めている親なら、絶対に子どもだけの環境を許さないはずです。

それは、信じるとか信じないとかという次元の話ではないのです。

ハイハイを始めたばかりの赤ちゃんを、「あなたはいい子だから、あっちの階段には行かないわよね、信じてるわ」と目を離す親がいないのと一緒です(ちょっと違うか?)。

 

今日も相談あり

今日もある保護者の方から電話がありました。

SNSで友達の言ってることが自分のことのような気がして、不安でテスト勉強どころじゃないみたいで…」

むむむ。

それ、SNS見なければいいのじゃない?

「見なきゃ見ないで気になっちゃうみたいで…」

ほほう。

それ、ケータイ解約すればいいんじゃない?

「みんなケータイ持ってるから、一人だけ持ってないといじめられそうで…」

完全なるピアプレッシャー(同調圧力)ですね。

とりあえず、その子が嫌な思いをしているわけなので、見て見ぬ振りをするわけにはいきません。

が、SNSでの発言は、昔で言う便所の落書きと一緒で、大人(教師)には制御不能です。

昔、悪口でまみれた遊具が公園にあったけど、いつのまにか撤去されてたなあ。

当たり前だけど、落書きはなくなりました。

とりあえずスマホ解約を、勧めてみます。