学級経営の質を高めたいと思ったら
意図的座席配置をせよ
子どもの座る位置は、学級経営上、大きな意味合いを持ちます。
個人的には、くじ引きなどでランダムに座席を決めることに反対です。
よく、
「担任が勝手に座席を決めたら、子どもから不平不満が出ませんか?」
と聞かれることがありますが、出ません。
そこに、明確な趣意説明があるからです。
なぜ、担任が座席配置を組むのか。
それは、生活の質、学びの質を高めるためという確固たる理由があります。
子どもの人間関係や成長段階、精神状態を具に観察してこそ、担任による意図的な座席配置が学級経営上、大きな意味合いを持つのです。
「私が責任をもって、そのときどきの学級の成長に最も効果的だと考えられる座席配置を決めます。皆さんに任せても大丈夫だと私が判断したら、座席配置は皆さんに任せようと思いますが、それまでは私の決めた座席に座ります。」
これだけで十分です。
教師の前には、そのとき最も厚い学習支援や生活指導、精神的なケアを必要とする生徒を配置します。
真ん中には、学級をリードできる子どもを。
後方には、視野が広く、気配りを期待できる子どもを配置します。
しかし、大切なのは、座席配置だけではありません。
誰が近くにいるのか。
もっと言うと、誰と同じ班に属させるのか。
これが肝心です。
学級の基本構成は、生活班である
学校とは、学級の集合体です。
学級は、生活班の集合体です。
この「生活班」という制度を、学級経営の要とすることで、学級経営の質はぐんと上がります。
班の構成人数は4人です。
それぞれに役割を与えます。
- 班長:話し合いのファシリテーターを行ったり、班長会議に参加する
- 清掃リーダー:清掃活動の重点項目を決めるなど、清掃活動の責任者を務める
- 提出リーダー:連絡帳のチェックを行ったり、提出物に関する責任者を務める
- 給食リーダー:給食当番を決めるなど、給食に関する責任者を務める
大切なのは、責任だけでなく権限と活躍の場を保証することです。
そして、班編成が形骸化することのないように、日常生活のあらゆる場で、この生活班を活用します。
そのため、給食当番と清掃場所は、生活班を基本として学年始めに決めておきます。
班の活動の頻度が高いのは授業です。
班ごとの話し合い。
ここで重要になってくるのは、合意形成や立場の一本化など、明確な目的意識をもった話し合い活動が行われているかどうかです。
「話し合ってください」「意見を出し合ってください」
これでは、自分の意見を言ったら、自分の役割は終了です。
「賛成か、反対か。班で決めてください」「班で一つ、最も大切だと思うものを決めてください」「A,B,Cの中から、班で一つ選んでください」
こういった合意形成の過程の中で、コミュニケーションの基礎をまなんでいきます。
そして、その過程の中で、班の人間関係が醸成されていくのです。
また、班ごとの発表や課題の提出など課すのも、人間関係づくりに効果的です。
毎週、班会議、班長会議を
毎週金曜日の給食の準備の時間に、班長会議を行います。
主に、翌週月曜日の朝に行われる班会議の打ち合わせです。
「給食の準備が遅いのだけれど、その対策を班で考えるから、自分でも意見を用意しておいで」
「体育大会での学級の理想的な姿を、班員に一分間で語るから、練習しておいで」
「このクラスの今の問題点は何だと思う?」 など
班長を務めた生徒には、学級の中枢を担っていることを肌で感じさせるようにします。学級代表2名だけでは、足らないのです。
学級の中で、先頭集団を走る子どもを増やしていくためには、リーダーを担わせることが必要です。
しかし、それは決して押し付け合いで決められてはなりません。
「役割はすべて、立候補で決めます。」
これが鉄則です。
リーダーとフォロワーを
リーダーの育成と同時に、フォロワーを養成します。
リーダーの責任の重さや苦労は、やった人にしか分かりません。
だから、一定の周期でリーダーを変えていかなければいけないのです。
しかしながら、学級代表を頻繁に変えていくことは、学校全体の運営上、困難です。
だからこその生活班なのです。
リーダーとなった子どもには、満足感と達成感を味わわせなければいけません。
そのためには、フォロワーの協力が不可欠なのです。
だから、リーダーの務めが終わるときにはこう語ります。
「あなたたちがリーダーを務めてくれてよかったよ、クラスのために今日までありがとう。もし次、リーダーでなくなったとしても、リーダーの大変さを知った君たちだから、自分の班のリーダーを支えてあげられるはずだよね。よろしくね。」
こうやって、リーダーの育成とフォロワーの育成を同時に行うのです。
学級愛の具体的表現を
よく、「このクラス大好き!」「このクラス最高!」という言葉を卒業文集などで見かけますが、本当の学級愛とは、具体的行動の積み重ねによってしか示されません。
クラスが大好きなら、クラスのために行動するのです。
「愛してる」と口では言いながら、誕生日すら祝わない恋人の言葉は、空疎です。
好きなら、大切に思うのなら、それにふさわしい行動があるのです。
それぞれの役割において、責任をもった行動や活動を積み重ねる場を意図的に設定できる。
これが、学級内班編成のいいところです。
また、意図的、計画的な人間関係の広がりや修復を狙えることも、もちろん利点です。
今日はこれまで!では、また!